三菱ケミカル株式会社
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研究開発テーマ
ロタキサン複合化エポキシ樹脂の異種材料接着剤への適用と4次元マルチスケール解析による接着発現機構の解明
エポキシ樹脂硬化物は、接着性、耐熱性、電気特性などの優れた特徴を有し接着剤としても広く使用されている。しかしながらその硬化物は一般的には高架橋密度の構造を有していることからタフネスが十分でなく、接着剤においても課題となる。そこで我々は軸分子に環状分子が貫通した構造を有するポリロタキサンに注目し、エポキシ樹脂と複合化させることでこの課題を克服することを目指している。一般的な架橋構造を有する高分子材料の場合は、応力がかると架橋点に力が集中し、破壊の大きな要因の一つとなる。一方、ポリロタキサンを複合化させた場合は、環状分子がスライドすることで力が分散し、複合化物の強靭化が期待できる。我々は、エポキシ樹脂やポリロタキサンの設計を工夫することでポリロタキサン複合化エポキシ樹脂硬化物の強靭化を図り、さらにはポリロタキサンの特徴を活かし新たな機能を付与した接着剤の開発に取り組んでいる。このような新しい接着剤は各種材料のマルチマテアリル化を促進し、例えばモビリティ材料へ適用することで車体を軽量化させCO2排出量を抑制し、地球環境の保全に貢献できると考えている。