日本ゼオン株式会社

シクロオレフィン系軟質接着性樹脂の接着界面解析および接着機構の解明

モビリティは大変革の時代を迎え、開発の中心は電動化、自動運転化、カーボンニュートラル等に大きくシフトしてきている。その変革の基盤技術として接着は重要なキーテクノロジーの一つと言える。

弊社が開発するシクロオレフィン系軟質接着性樹脂は、耐湿性、耐電蝕性、耐衝撃性、耐塩水性に優れる熱可塑性の接着剤である。加えて、難接着性のPP-GFにも接着が可能な特徴も併せ持っている。

既存接着剤において、引張せん断強度と引張伸びの両方が高い特性の領域は技術的に困難と言われている。弊社ではシクロオレフィン系軟質接着性樹脂をベースにその領域を狙っている。

高接着強度、高引張伸びの接着剤を狙うにあたり、CREAにおいて下記３つの課題に取り組んでいる。

１．接着・接合機構の分光学的解明
２．本接着剤の衝撃伝搬性解析
３．シミュレーションによる本接着剤の寿命予測

これらの課題を解決することにより、従来信頼性に欠ける等の理由で接着剤に頼ることのできなかった部位に適用され、モビリティの軽量化、電動化に貢献していきたい。また、熱可塑性であるがゆえの易解体性という特徴を生かし、リサイクル性に優れたサスティナブルな接着剤としての価値提供を目指していく。

図シクロオレフィン系接着剤を用いたCFRPとアルミの接着例