研究開発体制
Organization
小林 卓哉 グループ
研究概要
接着界面における損傷と破壊の問題は、事故分析など一般的な場面では力学的挙動として観察されることが多い。実際、材料力学あるいは破壊力学による従来のアプローチは、応力解析と破壊じん性試験の組み合わせを実用の手段として、航空宇宙・原子力などの分野において相応の成果を挙げてきた。主に金属材料を対象とする発展であったと見てよい。しかし繊維強化樹脂からなる複合材料の分野では、温度依存性、ひずみ速度依存性などの力学的要因のみならず、熱硬化に代表される化学的要因の複雑さのために、生産技術だけが先鋭化する状況を打破できずにいる。
本研究開発テーマは、化学的な要因分析を行う共研チームとの連携の下、この課題をあらためて力学的マクロスケール解析によって扱うことを目的としている。これまでの材料試験では踏み込めなかった材料のミクロ構造に起因する損傷、あるいはき裂進展などのメカニズムを理解し,かつそれらを有限要素法に代表されるマクロスケール解析に反映する手法の開発がその趣旨である。具体的には、化学的な分析を踏まえた分子動力学法による反応シミュレーションとの連携により、母材強度、界面での破壊挙動、さらには疲労破壊予知、寿命予測に踏み込むことを到達点としたい。
母材破壊と界面はく離を伴うCFRPマクロスケール解析の例