研究開発体制
Organization
伊藤 耕三 グループ
研究概要
当該グループは、新規接着技術の開発、特に環動高分子や超分子等を用いたタフでしなやかな接着剤の開発とその分子的接着機構の解明を担当する。接着界面に、環動高分子材料の概念を導入することで、新たな接着技術を構築する。接着剤であるポリマーと環状分子からなるポリロタキサンの環状分子に、異種材料との強い相互作用を有する官能基を導入し、接着剤を構成するポリマーに添加する。環状分子が異種材料と反応して結合点を形成するが、ポリマーとは環を介したトポロジカルな結合となる。環とポリマーはスライドして界面にかかる力を緩和しつつ、主鎖を抜け出すことができないので、界面強度を環動高分子材料と同様に強めることが期待できる。この課題においての最大の問題は、ポリロタキサンの接着界面への配置である。しかし、最近の研究では、ポリロタキサンの環状分子であるシクロデキストリンを適切に修飾することによって、表面への偏析が起こることが確認されている。このような表面偏析を用いれば、ポリロタキサンを表面に配置し、容易に異種材料との界面を形成できると考えられる。実際に最近、エポキシ樹脂にポリロタキサンを少量添加した複合材料で破壊靭性や疲労特性が劇的に向上するという結果が得られている。その分子的機構を詳細に解明することで、環動高分子を利用した新規接着技術の学理を確立する。